US-2の本領発揮 ヨット遭難の辛坊さんら救助
2013年 06月 22日
ニュースキャスターの辛坊さんと全盲のセーラー岩本さんが
6月21日遭難。海自のUS-2で無事救助された。
【写真:辛坊さんらを救助したUS-2 同型機:海上自衛隊】
今月8日に大阪港を出発。準備と最後の訓練を行い
福島県の小名浜港に入り、16日にサンディエゴをめざし
出航したばかりでした。
残念でしたが、無事でよかったですね。
自然の猛威は恐いですね、その太平洋を無事に渡った
寛平ちゃんは凄い。
著名人の遭難でニュースでも大きく取り上げられた今回の救助、
海保と海自が連携、悪天候と遠洋という事も有り航空機を使っての
捜索、救助活動となりました。
今回投入された航空機は
海上保安庁のガルフガルフストリームV(LAJ500)が最初に発見、
海自のP3Cが2機、US-2が2機投入されたようです。
プロジェクトD2製作委員会と海自報道資料などから経過を見てみますと・・・
〈6月21日〉
7時35分 宮城県金華山南東方沖1200キロ海上(北緯32度58分、東経152度49分)
エオラス号辛坊氏から「右舷から浸水している」と事務局に衛星電話で連絡
同時にポンプで排水作業を試みる。
7時41分 事務局から海上保安庁に救助要請。
8時01分 辛坊氏から電話「ポンプでの排水が追い付かない。船体放棄しかない2人は大丈夫。」
2人がエオラス号から脱出し、ライフラフトに避難。
8時40分第二管区海上保安本部から海上自衛隊厚木基地に災害派遣要請。
9時50分辛坊氏と事務局が電話で連絡「北緯32度58分、東経152度49分。
波の高さは2~3m。「2人はけががなく元気。」
10時49分 海上自衛隊 第4航空群のP-3C 1機が厚木を離陸。
11時39分 海上自衛隊 第31航空群のUS-2 1機が離陸(時刻は防衛庁資料)
11時44分 海上保安庁ガルフストリームV(LAJ500)が現場海域に到着し、ライフラフトを発見し交信。2人の無事を確認。
14時すぎ USー2が現場に到着。海上着水を試みる。
15時 US-2は海上模様から着水が困難なため厚木基地へ引き返す。
気象状況は南西の風約15m/秒、波の高さ約4m
15時05分 海上自衛隊 第4航空群のP-3C 1機が離陸。
15時08分 海上自衛隊 第31航空群の別のUS-2 1機が離陸。
17時53分 US-2が現場に到着し海上着水。
18時14分 2人を救出し、US-2機内に収容
日の入りギリギリの時間
救助時の状況は波高3~4m, 風速16~18m
22時31分 辛坊治郎氏、岩本光弘氏を乗せたUS-2が厚木基地に到着。
US-2は3mクラスの波高での離着水も可能とされていますが、
救助活動はまた別物。ギリギリの条件だったと思われます。
辛坊さんも会見で、隊員の方は『訓練でも経験したことがない』
状況だったと話していました。
さすが博学な方であるだけに、US-2が着水できる波高は3mぐらいと
ご存知だったそうでライフラフトの窓からみた波の高さを見て
「これはもしかして無理かもしれない」と思ったそうです。
今回活躍した海上自衛隊第31航空群第71航空隊の新鋭飛行艇US-2は
US1を大幅に改良。フライバイワイヤに、グラスコックピット、与圧もついている。
まだ5機しか配備されていいないこの機体、最近はインドに輸出する話も
進んでいると聞きます。
今回の遭難は残念でしたが、世界に誇る飛行艇US-2、練度の高い海自、
海保の活躍で助かったのはよかったです。
「税金を使って助けて頂いた」と辛坊さんは恐縮しきりでしたが、
命に比べればなんて事ないですね。
US-2の海外売り込みの時には熱烈サポーターになってくれる事でしょう!
もう一つ、NNN系のニュースを見ていて思ったんですが、
辛坊さんら2人を救助し厚木に到着したUS-2、到着時の映像を見ると
No3エンジン(右翼胴体側)が止まっているように見えるんですけれど・・・
着陸後切ったのか?ひょっとして、調子悪くて3発飛行だったのか・・・?
【写真:日本テレビ NewsZEROから】
辛坊さん会見中、手にずっとパッチを握りしめていました
救出された際、自衛隊員の名前を聞こうとしたそうですが
「名前は教えられないということで、代わりにもらったワッペンだ」と
大事そうにしていたそうです。
岩国基地の拠点を置く第71航空隊、今回出動したのはその厚木基地救難待機
飛行艇US-2とその原型機US-1を配備する世界で唯一の外洋救難飛行艇部隊。
【写真:第71航空隊のパッチコールサインはレスキューアイボリー】
多分これですね
【写真:左手には第71航空隊のパッチを持つ:デイリー】
最後に、2度目の会見での辛坊さんのコメントをデイリースポーツの記事から・・・
「海上自衛隊の第1便の水上艇が来てくれるという連絡をもらったが、私の基本的な知識では3メートルを超えると、水上艇は着水できないというのがあった。窓を開けてみたら確実に3メートルをこえていたので、これはもしかして無理かもしれないと思った。夕方になってもう少し波が穏やかになると予測し、その後、もう一度救助に来てくれたと思うが、結果的に波は相変わらず高かった。普通のパイロットだったら降りないと思う、あの海には。救助してくれた方々は『こんな海でレスキュー活動したことがない。訓練でもしたことがない』とおっしゃった。本当にたった2人の命を救うため、11人の海自の皆さんが犠牲になるかもしれないというのに着陸(水)してくれた。僕は本当にね、ああこのすばらしい国に生まれた。これほどまでにうれしかったことはない」
ふと思いましたが、飛行艇のパイロットは船舶免許がいるのかな??^ ^;〜